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現地からの便り
2024.6.30
鉄道が全線再開したころは桜が咲いていました。沿線は桜が見事な駅も多く、毎年この時期はたくさんの方が撮影に訪れています。個人的には花の散ったあとの葉桜の風景が好きで、新緑や田んぼが日に日に色濃くなり、海の色空の色が明るくなってゆくこの季節が、とても良いなぁ、と思っています。季節は今年も夏に向かっています。
6月も終わりを迎えようとしています。早いもので1年の半分が過ぎ、と言われる時期になりました。震災から半年、こちらでも一つの区切りとして様々なニュースが流れています。半年で進んだこと、進まないこと、感じ方も環境もそれぞれですが、たくさんの方からのご支援や、心を寄せていただくことと共に過ごしてきたことは間違いありません。この企画をご覧いただいた皆さん、そして企画にご参加いただいた皆さんも、もちろんその一員です。このたびは本当にありがとうございました。能登の風景を時々でも思い出していただければ幸いです。
のと鉄道 運転士 山際良太
写真①桜の名所で有名な能登鹿島駅ですが、アジサイもとても見事です。お手入れしてくれている方々に感謝!
写真②駅に展示してある鉄道郵便車。ここにも新緑が伸びてきました。
※現地からの便りで使用した写真は、5回の新聞記事、6回の演奏風景を除き、すべて湯浅啓氏に提供いただきました。企画ご参加者へのポストカード準備と共に、感謝申し上げます。
2024.6.27
この企画をご覧の方々はすでにご承知と思いますが、門田先輩とのご縁は、ブラスバンド、サックスという楽器にあります。能登に移住してからも、こちらの楽団の方に迎えていただき、おかげさまで今でも、楽団員や地元の学生さん達と楽器を吹く機会があります。
震災後は皆さん演奏活動どころではない状態でしたし、少し時間が経過してからも、練習場所の施設損傷や、避難所・支援拠点として使用しているなど、様々な理由で楽器が吹けない方がほとんどでした。もちろん披露する場もなく再開のキッカケもないような日々。
そんな中、春くらいから少しずつイベントを立ち上げる方が出てきました。
学校の部活動も新年度から少しずつ再開したところが多かったようです。
先日も地元のイベントで、演奏の機会がありました。イベントでは、手作りの雑貨や食べ物、占いやマッサージのブースもありました。屋台の美味しい香りが漂う中、能登各地の市民楽団5団体有志の合同バンド、そしてサックスのアンサンブルをさせていただきました。仲間と演奏すること、聞いてくれるお客さんがいて反応が見えること、やはりライヴは良いなぁ、と感じられる1日になりました。
写真
サックス4人とドラムの5人でアンサンブルしました。私の担当は一番大きなバリトンサックスです。
2024.6.24
先日、今年初めて団体客を乗せての運転がありました。
普段は『団体客』というと、遠方からのツアーのお客さんがほとんどなのですが、現在は能登を巡るツアーはさすがにありません。そんな中、この日乗ってくれたのは、地元の保育所の子どもたちでした。
のと鉄道では、例年ひなまつり、こいのぼり、ハローウィン、クリスマスなど季節の飾りつけをした列車の運行をしています。そのような企画もお休みしていましたが、この時期の『テルテル坊主列車』から再開しました。沿線の幼稚園・保育園の子どもたちが作ってくれたものを飾ります。素材はビニールから新聞紙、フェルトやお花紙など様々。ワタで作った雲が付いていたり、虹が飾ってあったり、アイディア満載です。
この日、自分の作ったテルテル坊主を車内に見つけた子どもたちは大興奮!保育士さん達に記念撮影をしてもらっていました。
列車が走り出してからも、トンネルや鉄橋、踏切を見るたびに、車内には歓声が上がり、車内のお客さんたちも運転している私も、なんだかほっこりとしたムード。雨が降り出しそうな日でしたが、テルテル坊主のおかげか、お天気は持ちました。楽しい遠足になったかな~?
写真 テルテル坊主列車運行開始を伝える新聞記事
2024.6.19
2月中旬、半分の区間で鉄道運行が再開されました。残り区間のバス代行の車掌業務は営業方面の方々に任せ、ついに自分の持ち場に戻る日が来ました。慣れ親しんだ運転席の椅子、見慣れた景色、のはずが、なんだか違う世界を見ているような感じでしたが、自分がハンドルを握り、お客様を乗せる、これでやっと役割が果たせるのだという充実感がありました。そして4月上旬、何とか新学期に間に合うタイミングで、全線が運行再開。ちょうど桜が咲き始める頃でした。
写真①2月中旬再開の始発列車に乗り込む高校生。マスコミに囲まれていました。
写真②運行再開を見守る保線作業員の方々。
写真③全線運行再開数日後に桜が満開に。すっかり春になっていました。
写真④車内から見える海は、地震などなかったように日々穏やかです。
2024.6.19
2月中旬、半分の区間で鉄道運行が再開されました。残り区間のバス代行の車掌業務は営業方面の方々に任せ、ついに自分の持ち場に戻る日が来ました。慣れ親しんだ運転席の椅子、見慣れた景色、のはずが、なんだか違う世界を見ているような感じでしたが、自分がハンドルを握り、お客様を乗せる、これでやっと役割が果たせるのだという充実感がありました。そして4月上旬、何とか新学期に間に合うタイミングで、全線が運行再開。ちょうど桜が咲き始める頃でした。
写真①2月中旬再開の始発列車に乗り込む高校生。マスコミに囲まれていました。
写真②運行再開を見守る保線作業員の方々。
写真③全線運行再開数日後に桜が満開に。すっかり春になっていました。
写真④車内から見える海は、地震などなかったように日々穏やかです。
2024.6.14
1月末、代行バスの運行がスタート。朝と夕方、本数はとても少ないスタートでしたが、高校生の通学手段を何とか確保しよう、公共交通の役目を果たそう、と私たちも車掌として乗務しました。当の学校もまだまだインフラが不十分で、他校を間借りしている学校もありましたし、リモートで授業を受ける生徒も多かったようです。いつもより数は少ないけれど、それでも毎日利用してくれる子もいて、その子達や、常連のお客さんの乗車を日々見ていることで、震災当時から感じていた無力感が薄らいでいく気がしていました。
少しずつ仕事の張り合いを取り戻せていることを実感する中、2月中旬から1部区間で鉄道運行再開の知らせが入りました。
我が家で水道が開通したのもこの時期で、久しぶりに『JAW BLEND』の豆を挽いてしみじみといただきました。
写真①仮復旧の国道をゆく代行バス。渋滞も多い中早朝から毎日運行してくれました。
写真②バスに乗っていると、たくさんの災害支援のバスやトラックとすれ違いました。写真の北九州からの支援バスはほぼ毎日同じ時間にすれ違っていた気がします。
写真③バス運行の傍ら、線路の復旧は連日続けられていました。2月、まだまだ雪の降る日もありました。
写真④水陸両用ならぬ、道路線路併用工事車両。たくさんの作業員の方と共に、たくさんの車両も来てくれていました。
2024.6.11
今回のこの企画をいただいた時に、元旦からの日々を思い出していました。
職場からの帰り道で被災し、近所では大きながけ崩れもあり、家族と共に無事であったことの幸運。
電気、水道、ゴミの収集やガソリンや灯油の供給など、再開が見通せない中、水路で水を汲んだり、避難所や給水所に通う日々。様々な支援の車が毎日大渋滞になるほど訪れ、みなさんそれぞれの持ち場で復旧へ活躍されている一方、自分は持ち場が失われ、無力感を味わっていたこと。
そんな中、1月も終盤に差し掛かった頃、鉄道の代行バスの運行開始が発表されました。
写真① 奥能登へ向かう残されたほぼ唯一の国道は支援車両で毎日大渋滞でした。
写真② 木造の駅舎が傾き、ホームも崩れている箇所が多数ありました。
写真③ 信号機も傾き列車は来ませんが、電気は生きていました。
写真④ 波打つ線路。自然の力を見せつけられます。
写真⑤ 元旦16時台に発車を待っていた車両。手前の線路は地震で千切れてしまい、1か月経過しても動けないまま。
いずれの写真も2月上旬のものです。
2024.6.6
門田"JAW"晃介 さんの『のと鉄道応援企画』をご覧いただいたみなさん、そして企画にご賛同いただいたみなさん、このたびはありがとうございます。のと鉄道で運転士をしております山際と申します。
門田先輩より、能登からも現地の今を少しでも発信してほしいとご提案いただき、こちらに載せていただくことになりました。よろしければお付き合いください。
のと鉄道は、たくさんの方のご助力により、2月15日に半分の区間で、4月6日に全線で運行を再開しました。
4月再開の区間では今でも徐行運転が続いていますが、鉄道を必要としてくれている方々(高校生、年配の方が多い)を乗せ、日々運行しています。徐行区間については、日々の運行や雨の多い時期を経て、線路などに変化が出てくるか見きわめた上、通常の速度や本数に戻すかを判断することになっています。
そんな中、6月3日に少し強い地震がありました。揺れの基準値を超えたため、運行は一時ストップ、保線係員による線路の点検(徒歩巡回)が行われました。幸い線路に異常はなく、3時間ほどで再開できました。しばらく余震がなかったこともあって、油断してはいけない、備えを怠ってはならない、と言われているようでした。私生活でも、こまめな充電や水を溜めておくことなどの大切さを再認識した日になりました。
写真①線路を巡回する保線係員 写真は4月6日以前の区間再開前のものです
写真②終点の穴水駅にはたくさんのツバメの巣があります。震災があっても例年通りちゃんとやってきています。
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